システムオペレーション(インフラ)の年収は? 需要や将来性を解説

円滑にシステムを運用していくためには、サーバーやネットワークを管理するシステムオペレーションのスキルが欠かせません。ここではシステムオペレーションに関する年収事情や、世の中の需要の変化、将来性について紹介します。
※この記事で使用するPROJECT COMPの情報は2022月3月29日現在のものです
システムオペレーション(インフラ)の年収
はじめに、システムオペレーション(インフラ)のスキルにまつわる年収水準を『PROJECT COMP』のデータを基に解説します。2022年3月29日時点で、システムオペレーション(インフラ)をメインスキルに設定しているデータの数は68件。そのうち年収平均、中央値は以下の通りです。
- 平均年収:730万円
- 中央値:690万円

その他を除いたスキルデータ13個のうち、システムオペレーション(インフラ)の平均年収は8番目に高く、中央値は上から6番目に高い結果となっています。このことから、システムオペレーション(インフラ)の年収はPROJECT COMPの登録データの中で全スキルデータの中位であることがわかります。
システムオペレーション(インフラ)の年収統計は以下の通り。なお、システムオペレーション(インフラ)スキルの構成データのうち、最も低い年収は280万円(社会人歴4年目)、最も高い年収は1,240万円(社会人歴4年目)と登録されています。

システムオペレーション(インフラ)のスキルを持つ構成データの社会人歴と、平均年収/中央値の関係は以下の通りです。

1年目:560万円/493万円
2年目:740万円
4年目:700万円/680万円
5年目:660万円/662万円
6年目:770万円
9年目:740万円/680万円
10年目:770万円/795万円
11~14年目:970万円/850万円
15年目~:810万円/860万円
10年目以降は年収が高くなる傾向にありますが、2年目から9年目までは年数によって年収が上がるわけではなく、バラバラです。社会人歴よりもキャリアやサブスキルによって年収に差が出ていることが分かりました。
以下は、システムオペレーション(インフラ)のスキルを持つ構成データの平均年収/中央値を企業別に示したものです。

アマゾンウェブサービスジャパン株式会社:970万円
ソフトバンク株式会社:930万円
アクセンチュア株式会社:840万円
株式会社メルカリ:1,090万円
株式会社リクルート:820万円
より良いサービスの提供のためには、リスクを未然に防いだり、運用方法の改善を考えたりする能力が必要です。これらの企業はいずれも顧客データや商品、企業データなどの膨大な情報を抱えており、オペレーションエンジニアはより良いサービスを提供するために必要不可欠の存在だと考えられます。
システムオペレーション(インフラ)の仕事内容
システムオペレーション(インフラ)とは、サーバーやネットワークを監視し、システムが安全に動作するように管理するスキルを指します。トラブル発生時には記録を取り、原因を究明したり、対策を考えたりします。
システムオペレーション(インフラ)のスキルを用いた仕事
システムオペレーション(インフラ)のスキルを扱う仕事には以下のようなものがあります。
ネットワークエンジニア
インターネットなど、ITの基盤となるネットワークを構築し、ユーザーが利用できる環境を提供する仕事です。ネットワーク機器やネットワークセキュリティの知識が必要で、安全な利用を叶えるためにネットワークの監視・運用・保守を行います。
サーバーエンジニア
コンピューターシステムを運用するためのサーバー(Webサーバー、ファイルサーバー、メールサーバーなど)の設計・構築・運用・保守を行う仕事です。サーバーOS、仮想化技術、クラウド技術に加え、ウイルスやハッキングなどのリスクからサーバーを守るため、セキュリティの深い知識も必要となります。
データベースエンジニア
さまざまな情報を保存するデータベースの設計・構築・運用・保守を行う仕事です。MySQL、Oracle Database、PostgreSQLといったデータベース管理システムの知識が必要となります。
システムオペレーション(インフラ)に関連する言語や技術
システムオペレーション(インフラ)のスキルを活かして活躍する場合、以下のような言語や技術に対する深い知識が求められます。
Shell(シェルスクリプト)
Shellとは、ユーザーが出した指示をコンピューターに届けるためのプログラムです。そしてシェルスクリプトとは、Shellの動作をまとめて記述したスクリプト(台本)のことを言います。シェルスクリプトをうまく活用することで処理を自動化し、作業の効率化を図ることができます。また、システム障害時のログ調査などにもシェルの知識が必要となります。
運用監視ツールを扱うスキル
ネットワークやサーバーなどが正常に動作しているか確認するために、運用監視ツールを扱うスキルが必要です。運用監視ツールは異常を検出すると通知を出し、管理者は通知内容をもとに迅速な対応を行う必要があります。代表的なツールには、Zabbix、JP1、Nagiosなどがあります。
システムオペレーション(インフラ)の将来性とキャリア
システムオペレーション(インフラ)のスキルを軸にキャリア形成を考える場合、スキルの将来性や、キャリアプランの選択肢を理解しておくことが重要です。
システムオペレーション(インフラ)の将来性
ソフトウェアサービスの増加と共にシステムオペレーション(インフラ)のスキルの需要が見込まれる一方で、既存システムの運用・保守だけでは生き残りが難しくなりそうな動きも出ています。
経済産業省が発表した『DXレポート』によると、既存システムは複雑化・ブラックボックス化しており、運用・保守のために時間・人材・コストが割かれるため、経済損失が大きいと指摘しています。
現状の解消には既存システムの刷新や、経営改革そのものが必要とされており、各企業が対応を急いでいるところです。


既存システムが残っている間は、システムオペレーション(インフラ)のスキルだけでもできる仕事はあります。実際、IT業界では運用・保守の人材不足が叫ばれています。しかし、将来的には既存のシステムオペレーションのスキルに加え、DX化やAIの進展に合わせた運用・保守スキルも必要になることが予想されます。
(参照:住友生命保険が取り組むDX人材育成)
(参照:ヘルプデスク業務と運用保守業務をAIで革新し飛躍的に向上させたお客様へのパフォーマンス!)
システムオペレーション(インフラ)のキャリアの選択肢
次に、システムオペレーション(インフラ)のスキルを活かしながらキャリアアップ・年収アップを目指す方法を、PROJECT COMPの構成データから分析しました。
PROJECT COMPでメインスキルを「システムオペレーション(インフラ)」と登録している構成データのうち、年収1,000万円を超えるデータは10件。社会人歴は1年目で1,000万円を超えているデータが1件あるものの、それを除くと最低で8年以上でした。
職種について、ソフトウェアエンジニアと設定しているデータが5件、マネジメント職が5件(アーキテクトとソフトウェアエンジニアリングマネージャーが2件ずつ、プロダクトマネジャーは1件)という結果でした。
ここまでのデータから、システムオペレーション(インフラ)のスキルをメインで扱いながらキャリアアップ・年収アップを目指したい人は、エンジニアとして技術面を磨くだけでなく、チームを支えるマネジメント力や、システムの根本から企画・検討・提案する能力を身に付けることが有効だと言えそうです。