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2022.03.30
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年収1000万台オファーも!メガベンチャーからスタートアップへの転職で年収ダウンを回避できた勝因は?

avatar古屋江美子
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エンジニア向け給料データベースサービス「PROJECT COMP」のデータを見ると、ディー・エヌ・エー、サイバーエージェント、LINE、メルカリといったメガベンチャーの平均年収の高さが目立ちます。

しかし、30歳でメガベンチャーからスタートアップに転職したソフトウェアエンジニアのSさんは、メガベンチャー時代の給与水準をキープしたまま働いていると言います。

そこで、メガベンチャーでの年収アップや、転職時の年収についてSさんに伺いました。

33歳・社会人9年目 ソフトウェアエンジニアSさんの年収推移

Sさん

学部卒 31歳・社会人8年目 ソフトウェアエンジニア

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2014年4月 新卒でメガベンチャーへ入社。サーバーサイド開発/年収550万円
2018年6月 iOS/Androidエンジニアへ転向/年収820万円
2020年10月 スタートアップに転職/年収960万円
2021年5月 エンジニアチームのテックリード/年収900万

Sさんは学生時代のアルバイトをきっかけに、エンジニアの道へ入ることを決意し、24歳で某メガベンチャーに入社しました。

新卒入社時はサーバーサイドエンジニアとして年収550万円からスタートし、3年目の終わり頃には年収769万円へアップ。

PROJECT COMPでは、「サーバーサイド開発」のスキルを持つエンジニアの平均年収は1年目が520万円、3年目が620万円となっていることから、Sさんの入社当時の年収は平均的ながらも、3年間の伸び率がかなり高いことが分かります。

Sさんの当時の給与は、半年ごとの能力評価で決まっていたといいます。年収は順調に右肩上がり。特にグラフの伸び率が高い2015〜2016年は、プレイングマネージャーとしてマネージャーとエンジニアを兼務していた頃です。

「『エンジニアリング×マネジメント』の掛け合わせによって事業貢献ができるようになったことで評価が高まり、年収アップにつながったのだと思います」とSさん。

4年目には、社内でサーバーサイドエンジニアからiOS/Androidエンジニアへ転向し、年収は820万円に。その後、マネージャーを経て、退職直前の6年目の終わりには、年収960万円へ到達していました。

順調な年収アップの背景には、着実なスキルアップもありました。

「入社当初から技術書を読んだり、独学によるスキルアップを意識的に続けてきました。こうした努力も間接的に仕事の評価につながったのかもしれません」(Sさん)

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そして2019年8月、スタートアップへ転職。この時の契約年収は960万円。メガベンチャー時代の最終年収をキープしました。

「スタートアップ転職は給料が下がるイメージがありましたが、いくつかの企業と話してみると、割と年収キープ、もしくはプラスアルファのオファー金額を提示してくれました。年収交渉まではしていませんが、給料が下がらないことを転職の優先順位のひとつにしていることは伝えていましたね」(Sさん)

年収とやりがいを両立できるのがスタートアップの魅力

Sさんの転職の直接のきっかけは、元同僚から「一緒に働かないか」と声をかけられたこと。メガベンチャー時代の同僚は、独立してスタートアップを創業する人も多かったそうです。

「特に人脈作りに力を入れていたわけではありません。まかされた仕事に真摯に向き合っていただけ。でも、それをいろいろな人が見てくれていて、幸いにも何人かが声をかけてくれました」(Sさん)

そろそろ環境を変えたいと思っていたこともあり、スタートアップへの転職を決意。2社まで絞り込んだ時、最後の決め手にしたのは、年収ではなくやりがいでした。実は別のスタートアップのほうが年収は数十万円高く、オファー額は1000万円を超えていたといいます。

「年収だけを考えるなら、メガベンチャーに残ってマネージャーを続けるのが早道だったでしょう。でも、どうせなら毎日楽しく働きたい。私は難しい課題を解決することにエンジニアとしてのおもしろさを見出せるタイプ。カジュアル面談で仕事内容や今後の展望を聞いて、より技術的なチャレンジができそうだと思えたのが今の会社でした」(Sさん)

できれば「エンジニア1本」で働きたいと語るSさん。今も結果的にテックリードというポジションではありますが、前職でメンバーを率いていたのに比べると負荷が少なく、働き方には満足しているといいます。

また、入社後の年収についても不満はないそうです。

「もともとメガベンチャーのようなペースで上がることは想定していません。それよりはストックオプションをもらって、サービスを成長させていくことがスタートアップらしいチャレンジだと思っていますね」(Sさん)

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日本企業で年収アップできるかは運次第

あらためて順調なキャリアの勝因を聞くと、Sさんが挙げたのは“運”でした。

「振り返ると、年収が順調に上がったのも、転職の時に声をかけてもらえたのも、運が良かったのかなと。過去には合わない上司もいて、評価もされず、辞めたいと思ったこともあります。」

自分で努力をコツコツ積み重ねることは大前提だとしても、それをきちんと評価してもらうには、たしかに運も必要かもしれません。

実は、日本企業は米国の企業と比べると、適切な評価や報酬への社員の満足度が低い傾向にあります。独立行政法人情報処理推進機構の『DX白書2021』によれば、2021年7~8月にかけて日本企業と米国企業を対象に実施した「デジタル戦略・デジタル技術・デジタル人材に関する調査」(※)では、「個人の業績や貢献が適正に評価される」ことに「満足している」と答えたのは、米国企業が62.1%だったのに対して、日本企業ではわずか16.1%でした。

また、「高いスキルを持っていることが報酬に反映される」ことへの満足度は、米国企業は60.2%ですが、日本企業は10.1%に過ぎませんでした。日本企業では、上司や会社に適切に評価してもらえていれば、それだけでラッキーなのかもしれません。

※日本企業アンケートは、経済産業省「情報処理実態調査」の26業種(製造業、非製造業)の日本企業の経営層またはICT関連事業部門を対象として実施(回収数534社)。米国企業アンケートは日本企業の調査対象範囲に準じた企業のマネージャークラス以上を対象者として実施(回収数は369件)。

「努力を正当に評価してもらえないなら、転職を考えてもいいと思いますよ」と晴れやかに話すSさん。

自分が正当に評価されない環境にいると感じたら、転職の好機なのかもしれません。その時は、スタートアップや外資系も含めて広い範囲に目を向けて探すと、やりがいと報酬を両立できる企業をより見つけやすくなりそうです。

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