SREの年収は? 需要や将来性を解説

サービスやWebサイトの信頼性の向上を図るためには、システム運用の自動化・効率化を行うSREのスキルが欠かせません。ここではSREに関する年収事情や、世の中の需要の変化、将来性について紹介します。
※この記事で使用するPROJECT COMPの情報は2022月4月22日現在のものです。
SREの年収
はじめに、SREのスキルにまつわる年収水準を『PROJECT COMP』のデータを基に解説します。2022年4月22日時点で、SREをメインスキルに設定しているデータの数は38件。そのうち年収平均、中央値は以下の通りです。
- 平均年収:790万円
- 中央値:680万円

その他を除いたスキルデータ13個のうち、SREの平均年収は5番目に高く、中央値は上から9番目に高い結果となっています。このことから、SREの年収はPROJECT COMPの登録データの中で、全スキルデータの中位であることが分かります。
SREの年収統計は以下の通り。なお、SREスキルの構成データのうち、最も低い年収は445万円(社会人歴5年目)、最も高い年収は1,120万円(社会人歴6年目)と登録されています。

SREのスキルを持つユーザーの社会人歴と、平均年収/中央値の関係は以下の通りです。

1年目:580万円/540万円
3年目:730万円
6年目:800万円
7年目:760万円
11~14年目:1,420万円/1,000万円
15年目~:790万円/683万円
基本的には社会人歴を重ねるごとに年収が上がり、11年目以降には1,000万円を超える年収も不可能ではないようです。また、高収入を実現している人は、サブスキルを複数設定している人が多いことも分かりました。
以下は、SREのスキルを持つエンジニアの平均年収/中央値を企業別に示したものです。

サイボウズ株式会社:720万円/651万円
株式会社ZOZOテクノロジーズ:1,170万円/980万円
LINE株式会社:940万円
会社によって年収に開きがあるものの、SREのスキルは比較的高収入が見込めることが分かります。
SREの仕事内容
SREとは「サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(Site Reliability Engineering)」の頭文字を取った略称です。Googleが提唱し、システムの運用・管理の方法論や考え方、またはそれを運用する人のことを指します。
SREエンジニア
SREのスキルを扱う仕事に、SREエンジニアがあります。SREエンジニアは、システム運用などのインフラ面に加えて、アプリケーションのプログラム修正まで行い、業務内容が多岐にわたるのが特徴です。
具体的な業務内容には、以下の3つがあります。
システム・クラウドの安定した運用
システム・クラウドを運用し、開発環境をチームに提供することがSREエンジニアの1つの役割です。サーバー環境の整備、ミドルウェアのパフォーマンス向上、セキュリティの向上など、システム運用の土台を整えます。
開発者へのツール・仕組みの提供
開発者の業務を効率化させるために、ツール・仕組みを提供することもSREエンジニアの仕事です。トラブルを発見するモニタリング機能や、ログの取得・分析など、さまざまな業務を自動化し、開発者の負担を軽減することがSREエンジニアに求められます。
リリース前のトラブル解消
開発したサイトやサービスを公開する前に、想定されるバグやトラブルを事前に解消することも重要な仕事です。リリース時を想定した環境でバグのチェックをしたり、アクセスの集中によってサービスが応答しなくなる場合を考えて対策をしたりします。
SREに関連する言語や技術
SREのスキルを活かして活躍する場合、以下のような言語や技術に対する深い知識が求められます。
サーバーサイド言語
サーバーサイド言語とは、サーバー側で動き、ユーザーには見られることのない言語のことです。代表的なものに、Ruby・PHP・Java・Pythonなどがあります。SREエンジニアが行うのはサーバーサイド開発なため、開発に必要な言語を習得する必要があります。
API
APIとは、開発したソフトウェアを外部に公開し、第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにする仕組みのことです。SREエンジニアは最低限のセキュリティに関する知識が必要であり、特にAPIについてのセキュリティ理解は重要となります。
AWS、GCP
AWSはAmazonが運営しているクラウドサービス、GCPはGoogleが運営しているクラウドサービスのことです。SREエンジニアには、クラウドサーバーの構築や運用経験が求められる場合があります。SREエンジニアの募集にAWS、GCPの知識を必要条件としている企業もあります。
TCP/IP、HTTP
TCP/IPとは、コンピューターネットワークで利用される通信プロトコルのことです。大きく4つの階層に分かれています。そしてHTTPは、TCP/IPの階層のうちの1つである「アプリケーション層」のプロトコルです。SREエンジニアはネットワークの設定・構築も行うため、TCP/IP、HTTPの理解も必要になります。
SREの将来性とキャリア
SREのスキルを軸にキャリア形成を考える場合、スキルの将来性や、キャリアプランの選択肢を理解しておくことが重要です。
SREの将来性
SREのスキルは、アプリケーション開発、セキュリティ、インフラ整備、データベース管理など、あらゆるIT技術を網羅しています。ITのジェネラリストとして活躍できるため、需要がなくなる心配はほとんどないでしょう。
また、IT業界が抱える人材不足の解消やコスト削減を実現するため、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性が高まっています。DXを実現するためには、レガシーシステムの刷新が必要です。システムを一から新しく作り直していく過程に、あらゆるITスキルを網羅しているSREが役立ちます。


DXの実現に向けて、SREエンジニアの募集を行っている企業や、SREサービスの提供を始めた企業などもあります。
(参照:株式会社Speee)
(参照:レック・テクノロジー・コンサルティング株式会社)
このように、SREのスキルは年々需要が増しているため、今後も活躍できる場が増えることが期待できそうです。
SREのキャリアの選択肢
SREのスキルを活かしながらキャリアアップ・年収アップを目指す方法を、PROJECT COMPの登録データから分析しました。
PROJECT COMPでメインスキルを「SRE」と登録している構成データのうち、年収1,000万円を超える3データの傾向を見てみると、社会人歴は最低で6年以上。加えて、3つともサブスキルにDevOps(※)を設定していることが分かりました。
そのうち2つにはサーバーサイド開発とシステムオペレーション (インフラ)が、1つにはセキュリティがサブスキルとして設定されています。
また、3データの職種はいずれもソフトウェアエンジニアでした。
これらのデータから、SREのスキルをメインで扱いながらキャリアアップ・年収アップを目指したい人は、ソフトウェアエンジニアとして一定の社会人経験を積むとともに、DevOpsのスキルを磨いていくことが有効だと言えそうです。
まとめ
今回は、SREのスキルについて年収や仕事内容、将来性を紹介しました。登録情報は日々更新されており、最新データはPROJECT COMPから確認できます。スキルや年収などを細かく知りたい方は、ぜひPROJECT COMPにアクセスしてみてください。